神戸記1

 

久しぶりに神戸へ。まず三ノ宮から異人館方面へ、長いなだらかな坂を登る。途中、にしむら珈琲店やスタバの前を通った。(にしむら珈琲店でお茶する日を夢みながら、機会を逃し続けている)

今にも雨が降りそうな曇り空。真夏日ではないけど、湿気がすごい。背中にじっとりと汗をかきながら、ふうふう息をつく。明らかに運動不足だ!

あとから脚がパンパンにならないようにと願いながら、ゆっくりゆっくり歩く。

 

なんとか風見鶏の館に着き、絵の資料になるかと思って写真を数枚撮る。

風見鶏の館と萌黄の館の前は、少し開けた公園のような場所になっているので、涼しい時期にスケッチするのに良さそう。

あと、この辺りにくると必ず思い出すのが『黄昏の百合の骨』だったりする。理瀬の祖母が住んでいた洋館も、この辺りの異人館のような佇まいだったかもしれないなあと、どうしても思い浮かべてしまう。あの物語の雰囲気が好きなのだ。

 

11時半を過ぎたので、インスタでチェックしていたカフェへ向かう。隠れ家カフェと言われてるので不安だったけど、迷わずに行けた。店内に入ると、まだ他のお客さんはいないようで、奥の部屋に通された。落ち着きそうな角のテーブル席に座る。テーブルにはランプが置いてあり、暖かい光が灯されてとても落ち着く。ここで長時間読書をしてもいいかもしれないと思いつつ、すでに決めていたカレープレートとレモンジンジャーを注文した。

お店には、まず女性がキッチンにいて料理を作っているようで、注文は別の女性が取り仕切ってるようだ。そして男の子がいる。多分、キッチンの女性のお子さんだと思う。とても和やかな会話が聞こえる。

まず新鮮な野菜がたくさんのったお皿が出てきた。瑞々しく美味しかった。そして、次に数種類のお惣菜と玄米ご飯に、カレーの小皿がのったカレープレート。お惣菜は今月からの新メニューのようで、一つずつ説明を受ける。注目したのが、黒胡麻ジャージャー麺とトマトソースのかかったファラフェル。2品とも見たことも食べたこともなかったし、こういうのが外食の楽しさだな!と興奮。カレーはナスがクタクタに煮込んであって最高だった。

黙々と食べていると、キッチンの方では、この新メニューの内容をもう一度確認する声が聞こえてきた。

「ファラフェル」と呪文のように唱えているので、私も心のなかで「ファラフェル」とつられて唱える。でも途中で「あれ?ファーミラだったっけ?」と惜しいようで惜しくないような単語に変わってしまい、女性は男の子に「私の代わりに覚えてくれる?聞いたら、私に教えてくれる?ファラフェル!」と頼んでいた。私はというと、もうすっかり完璧に覚えてしまって、夢にまで出てきそう。ただファラフェルがなんなのかわかっていなかったので、後からスマホで調べてイスラエル料理だった事を知った。

 

そろそろ出る時間なので、支払いを済ませ「美味しかったです〜」と伝えると、男の子が「バイバイ」と見送ってくれた。

あまりにも可愛らしくてニコニコしながら外へ出たら、小雨が降っていたのに外にまで出てきてくれて「またきてね〜〜!」と手を振ってくれたので、感激。「またくるよ〜」と手を振り返して坂を下った。今度はおやつの時間に来れたらいいなあ。ケーキも美味しそうだった。